ちょうど一年くらい前だったかなあ、ある日のこと、家内がこんなこと
を言ってきた。
「ねえ、こんど保育園で父母参加の催しがあるんだけど、楽器のできる人を
探してるんだって。協力できるって言っといていい?」
「え、なにやるの?」
「多分、童謡を演奏するんじゃないのかな。人数がたくさん必要なんだって。」
「ああ、それなら打楽器かギターくらいならいいよ。」
「わかった。じゃあ協力しますって書いとくね。」
たしか、こんな会話だったはずだった。
数日後の朝、いつものよう保育園に子供を預けると、保母さん達が何人か寄ってきた。
「ありがとうございます~!ドラムで参加していただけるんですって?」
「子供たちはドラムなんて間近で見たことないから喜びますよお!」
「ハナちゃんのパパだけしか協力者がいなかったんで、心強いですう!」
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「 えっツ!? 僕だけですか??」
・・・しまった!すっかり嵌められちまった。。。しかもドラムを出すのかあ?
まあ、今さら引っ込みもつかないし、保育園に多少は協力しといたほうがいいからね。
「・・あ、あの、ドラムで何したらいいんですか?」
「ええ、おもちゃのチャチャチャとか、数曲を演奏していただければいいんです。」
「ピアノは保育士のほうでやりますから、お願いしますね~!」
「・・わかりました。。じゃあ、土曜日ですね。」
というわけで、土曜日の朝。
車にドラムセットを詰め込んで、運んだ先は保育園のホール。
「おはようございまーす!今日はよろしくおねがいしますねえ!」
あちゃあ、園長先生直々のお出ましだよ。
なんだか視線が痛いなあ。。。保育士の方々は興味津々って顔つきだし。
まあ、気を取り直していつものようにシンバルスタンドを組み立てて、
バスドラムの位置決めをして、動かないようにガムテープで数箇所を
固定してっと。。
さあ、セッティングはできたよ!
ピアノの先生と、ちょっとした打ち合わせと簡単な音だしをして、
リハーサルは終了。
気がつけば、続々と父母や子供たちがホールに集まりだしてる。
70人くらいはいるのかなあ。普通のライブでもこのくらい入ればいいのに。(爆)
みんなドラムに目が釘付けになってるな。まあ珍しいかもね、保育園の中だもん。
時間がくると、予定通りにスタート。
司会の先生が慣れた調子で手遊び歌で盛り上げてるなあ。
続いては、年中~年長さんたちが手作り楽器を持って歌とリズム遊び。
みんなペットボトルに小豆やお米を入れたシェイカーを上手に振って楽しそう。
お次は2~3才児のお歌を披露。うちの子もかなり真剣な顔して歌ってるのが
なんかおかしいね。
「それじゃあ、きょうのメインイベント!ハナちゃんのパパがドラムを演奏
してくれますよー!みんなでおうたを歌いましょうねえーッ!」
1曲目、「どんぐりころころ」(爆)
まあ、それなりに叩くけど、バンド仲間にゃあ見せられない姿かもなあ。(苦笑)
でも子供たちは嬉しそうだ。やっぱりリズムがシッカリしてると気分がいいらしい。
勝手に振りをつけて踊ってる子もいっぱいいるし。
2曲目、「おもちゃのチャチャチャ」(爆)
おおっ!!子供のノリが凄くなってきた。頭を振りまくってこわれてる子もいるし。。。
なんだか盛り上がってきたぞお。
「それじゃあご要望にお答えしてアンコールです。もう一度、おもちゃのチャチャチャ。」
アンコール曲が始まると、さらに子供たちがこわれてきた。。
うおーッ。。端っこで見てた子供も一斉に前にでてきたぞ!楽しそうに踊りまくってる。。
「ジャーン!!」
曲が終わっても、子供たちの興奮は収まらないらしい。。まだ頭を振ってるこもいるし、
シェイカーを狂ったように振り回している子もいっぱいいるよ。
これ、どうやって収拾つけのるのかなあと思っていたら、保育士から耳打ちされた。
「あの~。あと5分ほど時間が余っちゃったので、ドラムソロをやってくれませんか!」
「
え~~~ッ!? そんな、いきなり?」
とは思ったけど、結構乗り気。(笑)
さらに子供たちを壊してやろうかな。←コラ!
まずはマーチングドラムを始めると、子供たちは一斉に並んで行進を始めたよ!
こりゃおもしろい。。
だんだんスピードを上げていって、ほーら、最後はサンバのリズムでどうだあ!!
もう、みんなすっかりぶっ壊れちゃった。(笑)
みんな頭から湯気を出して踊りまくりだよ。
あっという間の5分間のソロが終わると、場内は拍手喝さい。
いやーッ、こんなにソロがウケルとは思わなかった!
子供の感受性ってストレートでいいねえ。またやらしてもらおうかなあ。(笑)
それからしばらくのあいだ、保育士の方々がちょっとだけ優しかった気がするのは
自意識過剰かな。。。